2021-01-01から1年間の記事一覧
子供の頃、雪というものを見ることがほとんどなかった。粉雪がチラチラ舞うだけで大騒ぎ、年に一度くらい薄っすら積もって、雪だるまや雪うさぎが作れた。うさぎの目にするからお社の奥の南天の実をちょうだい、と親におねだりしたものだ。 そんな温暖な土地…
『加藤楸邨の百句』 北大路翼(2020ふらんす堂)より抜粋 かなしめば鵙金色の日を負ひ来 死ねば野分生きてゐしかば争へり 夾竹桃しんかんたるに人をにくむ 寒卵どの曲線もかへりくる おぼろ夜のかたまりとしてものおもふ ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ…
『シンジケート[新装版]SYNDICATE』 穂村弘(2021講談社)より 呼吸する色の不思議を見ていたら「火よ」と貴方は教えてくれる 穂村氏の作品の中で、私が一番好きなのはこの歌である。美しいショートムービーを観ているようで、音として聞いても心地良い。た…
散歩コースにある可愛らしい平屋のお宅。そこの塀から何やらピンクのモコモコ盛り上がっていて、近づいてみると…こ、これは「皇帝ダリア」ではないの?!巨大!軽く3メートルはある! あまりの大きさにダリアだとは思いもよらず…てっきり花の咲く庭木だとば…
『恋人たちはせーので光る』 最果タヒ(リトルモア2019)より抜粋 距離感 巨大な鉄球が飛んで来るみたいに、わたしは昔のことを思い出し、そうしてこれから弁解のために生きていくのだと思い知る、ちぎった花びらの数だけ、きみの爪は割れるだろう、その関連性…
『新装版 春のお辞儀』 長嶋有(書肆侃侃房2019)より抜粋 ポメラニアンすごい不倫の話きく 昼顔や足裏みせて女寝る 短夜の遠くで発光するウラン 夜のメトロノーム恐ろし九月尽 控えめな春のお辞儀を拝見す うつぶせで開くノートの先に海 夏の月万歳すれば体浮…
先日、一年半ぶりにデザイナー時代の大先輩(74)と遊びに行ってきた。奮発したという電動自転車で颯爽と現れ、ヘアスタイルもネイルもばっちり。相変わらずのお洒落さんで、遠くからでもキラキラオーラが出ているのがわかる。しまった!と思ったがもう遅い。…
『渡邊白泉の100句を読む』 川名大(飯塚書店2021)より抜粋 白壁の穴より薔薇の国を覗く やはらかき海のからだはみだらなる 提燈を遠くもちゆきてもて帰る 夏の海水兵ひとり紛失す 霧の夜の水葬礼や舷かしぐ 終点の線路がふつと無いところ 稲無限不意に涙の堰…
大阪近郊では、金木犀の花が例年より一週間遅れで咲き始めた。 東京はいつもの年より早目と聞いて、ワクワクしながら待機していたのに…どうやら逢坂の関を越えるのに難儀したようだ。 金木犀の花の時期は短く、数日で落ちてしまう。日曜の朝、雨上がりを待ち…
このようにして あゆんでゆこう (イヴ・ボンヌフォワ/平井照敏訳) このようにして あゆんでゆこう はてしない空の 廃墟のうえを はるかな風景は 成就するだろう いきいきとしたひかりのなかの 運命のように ながいあいださがしもとめた もっともうつくしい国…
10月18日は十三夜、後の月。 お月見団子と言えば、白くてまん丸、三方の上にピラミッド状に盛られる物だと思っていた。大阪に来るまでは… 大阪のお月見団子は、こし餡をお腹に巻き付けた俵型で、里芋を模した形と言われている。白うさぎに目鼻をつけたお団子…
ワクチンの副反応かな?食欲が止まらん〜と言いながらバカバカ食べていたらあっと言う間に2キロ太った。健康診断に備えてプチ断食し、なんとか元に戻したが…食欲の秋…検診後一瞬で元に戻ってしまった。とりあえずワクチンに辿り着いた、もうコロナで死ぬこと…
『道行きや』 伊藤比呂美(新潮社2020) 詩人=伊藤比呂美さんは以前から存じ上げていたが、ついにファン向け?エッセイ集にまで手を出してしまった。笑。 ほぼ日記に近い内容なので、ある程度伊藤さんに関する事前知識がないとこの本の面白さは伝わらないか…
『水界園丁』 生駒大祐(港の人2019)より抜粋 枯蓮を手に誰か来る水世界 あぢさゐの朽葉裏より錦鯉 六月に生まれて鈴をよく拾ふ 水中に轍ありけりいなびかり ゆと揺れて鹿歩み出るゆふまぐれ 装丁の美しさでも話題になった句集である。勿論、中身も粒揃いで美…
三橋鷹女『羊歯地獄』自序より 一句を書くことは 一片の鱗の剝脱である 四十代に入つて始めてこの事を識つた 五十の坂を登りながら気付いたことは 剝脱した裏跡が 新しい鱗の芽生えによつて補はれてゐる事であつた だが然し 六十歳のこの期に及んでは 失せた…
『水の聖歌隊』 笹川諒(書肆侃侃房2021)より抜粋 椅子に深く、この世に浅く腰かける 何かこぼれる感じがあって かなしみを薄く伸ばして紛らわす夜の隅は地域猫に任せて 手は遠さ 水にも蕊があると言うあなたをひどく静かに呼んだ 呼びたい、と思えばひかり。…
先月末、桜庭さんと鴻巣さんの論争を偶然目にし、どう決着するのか心配しながら見守ってきた。すっきりと解決するにはまだ時間がかかりそうだが、時間がかかることによって無難に解決する事もあるのかなと思う。(昔人間の発想でごめんなさい。) 基本的には桜…
『不器男百句』 坪内稔典・谷さやん編(創風社出版/2006)より抜粋 永き日のにはとり柵を越えにけり 人入って門のこりたる暮春かな 向日葵の蕋を見るとき海消えし 川蟹のしろきむくろや秋磧 あなたなる夜雨の葛のあなたかな 花うばらふたたび堰にめぐり合ふ み…
1920年8月22日はアメリカのSF小説家、レイ・ブラッドベリが生まれた日。ブラッドベリと言えば、『ウは宇宙船のウ』 子供の頃、萩尾望都の漫画が初読なので、非常に身近と言うか思い出深い、大好きな作家さんである。後日大人になってから原作を読み、ブラッ…
見切品の棚から立派な桃を取り上げて 貧しい我家の盆支度は これでおしまい 桃の皮をむくのは難しくないかと聞かれ アボガドと同じだよと答える 柔らか過ぎると駄目だけどね 黒ずんだ跡を隠すように 冷蔵庫に二つ並べて格納する 夜までここで 静かに出番を待…
朝はまず薬缶に水を入れることから始まる。お仏壇に供えるお茶を沸かす為だ。 幼い頃親から教え込まれたので、どこの家でもそういうものだと思っていたが、案外珍しい作法のようだ。そもそもお仏壇が無い家もあるのだもの、何をお供えするのかは千差万別、ご…
俳壇や歌壇、句会や歌会、文芸の世界全般に、エコーチェンバー現象は見受けられる。どの範囲で輪が閉じられるかはその時々、扱われるテーマにもよるが、場合によっては息苦しさを伴う。 同時期に俳句を始めた人の中には、作品を作る事よりも、週末の居場所作…
なんで渋谷系?なんでコーネリアス?確かに渋谷系はサブカルチャーだったけど…かなり昔の話だよね…何故に今?40代が企画したのかな? ワイワイしている間に開会式は終わってしまった。結局、前回のマリオに勝る衝撃はなかったね、というのがおばちゃん達の共…
最近これと言って話題のない時は、オリンピックかワクチン接種の話をしながら仕事をしている。誰でも参加できるし傷付く人もいない、安穏なネタであり、思いがけない情報収集ができたりもするので、やはり雑談は大切よね〜と皆で頷き合っている。 アニメ、ア…
(続きます。) 手元のメモにはわずかに二行… オチがある→お笑い文化 大阪 現代川柳=詩性川柳 むむむ…難しい。なんでこれを書いたのかさっぱり思い出せない。 ───── 付箋を貼ってあるのは以下の句なのだが、もう一度読むと多分違う結果になると思う。しかしも…
先月Twitterのタイムラインで矢鱈と見かけた10文字ホラーのジェネレーター https://note.com/thinkinginc/n/n8dbe4ad4d01a 投稿作品を読みながら、これって自由律俳句や川柳の発想方法と似ているのかも?と思った。違う??? 今週は川柳のアンソロジーを借…
もっと「強い俳句」が読みたい、と以前『天の川銀河発電所 Born after 1968 現代俳句ガイドブック』の感想文に書いた。 読みたいなら自分で詠めと言われそうだが、そんな才能は無いと初手から諦めている。語彙が不足しているだけなら努力もできる。しかし「…
取引先の一つから職域接種できますよ〜というご案内があった。下っ端の私如きにまでお声掛け頂き誠に有難い。とは言え、社員さんを押し退けて申し込むのはさすがに厚かましいですよね、と遠慮する迄がお約束、大人の対応である。枠が余る様なら是非是非〜と…
ご近所のマンションの前庭に山帽子が植えられている。今日はフレディみたいなお兄さんが咥え煙草でバイクの洗車をしながら、満開の白い花をみあげていた。 最近の新築マンションはシンプルな建物が多いが、アプローチ部分の植栽はデザイナーの力量がはっきり…
会社から在宅勤務中の社員全員に、外線電話を受けるためのスマホが支給されることになった。最終的には出勤者ゼロを目指す方針らしい。 セールスサポートの女の子達には大不評で、家で一日中電話とるなんて無理!今まで通りの電話当番制を続けて欲しいと社長…