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echire☆echire project 俳句の記録

2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

聖歌

『全山落葉』仲寒蟬(ふらんす堂2023)より抜粋 * * * * * * * * * * * * 海底に沈む神殿月日貝 炎昼や壁に塗り込められし門 どの水も人を欲して桜桃忌 たんぽぽをたどればローマまで行ける 黒板のゆるき湾曲冬に入る どの扉開けてもそこが春の牧 …

虎落笛

『才人と俳人 俳句交換句ッ記』堀本裕樹(集英社2023)より抜粋 * * * * * * * * * * * * 小鳥たち交わり散ってここは未来 小林エリカ 舌と舌離るる刹那小鳥来る 堀本裕樹 宝船の残骸打ち寄せて夜明け 藤野可織 橙が群青に落ち葉は宙ぶらりん 児玉…

漱石忌

『いま二センチ』永田紅(砂子屋書房2023)より抜粋 * * * * * * * * * * 眩しさに耳塞がれているような昼下がりひ、ふ、み、蝶がゆく 重心を分かちてのちも水紋が交わるようにひびきあいたり 脱皮して洗濯バサミにみずからの影干すような平面の昼 …

銀杏落葉

『ウォーターリリー』川野里子(短歌研究社2023)より抜粋 * * * * * * * * * * (ていねいにするどく爪で折つてゆく黙らせるための鶴のくちばし) (折つて折つてちひさくなつたら指先で押さへて ここが心臓あたり) 水掬ふとひらく掌アーナンダこの奇…