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echire☆echire project 俳句の記録

2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

炎帝

『現代詩文庫1025 立原道造詩集』立原道造(思潮社1982)より抜粋 * * * * * * * 詩集〈暁と夕の詩〉Ⅹ 朝やけ 昨夜の眠りの よごれた死骸の上に 腰をかけてゐるのは だれ? その深い くらい瞳から 今また 僕の汲んでゐるものは 何ですか? こんなにも …

大暑

『山崎方代の百首』藤島秀憲(ふらんす堂2023)より抜粋 * * * * * * * * * * ゆくところ迄ゆく覚悟あり夜おそくけものの皮にしめりをくるる まっくらな電柱のかげにどくだみの花が真白くふくらんでいる 夜おそく出でたる月がひっそりとしまい忘れし…

海月

『不死身のつもりの流れ星』最果タヒ(PARCO出版2023)より抜粋 * * * * * * * * * * 美しく美しくと泣いている骨でも肉でもないぼくの湖 薔薇をのぞきこむときと、 ホテルの部屋に初めて入るときは、すこし似ていて、 ぼくはしばらくのあいだだけ、…

百日紅

『ひとり暮らしののぞみさん』文:蜂飼耳/絵:大野八生(径書房2003)より抜粋 * * * * * * * 「ひとつ あげる」 と ちいさめの小鳥が いうので のぞみさんは あかい小石を もらうことにした。 「ありがとう」 アーモンドを つまむように おやゆびと ひ…

半夏生

『リルケ詩集』生野幸吉訳(白凰社2001)より抜粋 * * * * * * * 少年 ぼくはなりたい、夜闇を衝いて 荒馬を駆る騎士のひとりに、 手には松明かかげ、長くほどけた髪さながらに、 まっしぐらに駆るいきおいの、大きな風に焔なびかせ。 小舟のへさきに立…