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echire☆echire project 俳句の記録

2022-08-01から1ヶ月間の記事一覧

(12)秋【2020/やがて地獄へ下るとき】

ファーブルの帽子暗坂虫の声 葛の葉や帽子の裏の頭文字 しゃがみ込む人影蒼く酔芙蓉 鶏頭咲く小さな駅舎瓦屋根 塔、館、城塞越えて秋彼岸 天高し誰も凭れていない窓 嚔して人へと戻る刈田かな 金木犀歪んだ列の最後尾 琴柱窓ひそりと開く草の花 黒髪を広げて…

(11)秋【2019/Que sais-je?】

秋暑し絵本に薄く土埃 爽籟や紡ぐ煌びやかなる漏斗 深淵に水蜜桃の舟舫う あやまたずふかみへ連む星祭 真葛原人の形を記憶して 祭礼を待つ神の座にこぼれ萩 なぜ月がついてくる燃える密林 秋の暮どのベンチにも父がおり 庭先で急ぎ封切る火の恋し ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•…

⑩秋【2018/薹上に餓ゑて月】

青蜜柑唄の中ゆく貨物船 秋の潮無数に開くクラゲの眼 外は月夜らしい山椒魚黙す 木が走るかたかたかたかた良夜かな 狐花のりうつられていくけはい 白杖のしだいに細く十三夜 否と言う夢の覚め際秋彼岸 蹠は十字に痛む薄紅葉 指に垂れる針の尖端万聖節 崩れ落…

⑨秋【2015-2017】

秋深しマダムはゆったり歩くもの みな死ねと森のドングリ踏めば悪 黄落や褪せた詩集の音となる 秋立ちて足の鋭き爪隠す 全盛期ならば殺してゴーヤ棚 生前にわかり合えない桔梗咲く 帰る人濡縁に立つ夏の終 蟷螂の渡る沓脱石の縞 寝返れば遠のく気配蘇鉄の葉 …

藍浴衣

『漱石俳句を愉しむ』 半藤一利(PHP研究所1997)より抜粋 朦朧と霞に消ゆる巨人哉 或夜夢に雛娶りけり白い酒 ものいはず童子遠くの梅を指す 短夜の芭蕉は伸びて仕まひけり 五月雨の弓張らんとすればくるひたる 細き手の卯の花ごしや豆腐売 竿になれ鉤になれ此…