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echire☆echire project 俳句の記録

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

夏の夜

女性俳句の世界/俳句研究別冊(富士見書房2001)より抜粋 冬野 虹 荒海やなわとびの中がらんどう ささゆりにあをき両掌をたらしけり 圧鮨やゆるく野原を走る人 水に澄むふたつのからだ羊追ふ 花の野をみしりと使者の分け入りぬ ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•…

片陰り

『返り花』久米正雄 (増補現代俳句体系第五巻/角川書店1981)より抜粋 松柏の嵐の底や返り花 うらゝかや袱紗畳まず膝にある 一筋の水を落して梅の門 夏めくや合せ鏡に走る虹 夏めくや軋るお厨子の蝶番ひ 蚊帳の香のほのかなる闇へ踏み入りぬ 島の崖一つ紅さす…

梔子のはなびら

『久米正雄作品集』石割透編(岩波文庫2019)より抜粋 ☆牧唄句抄(中央公論1922) 朝顔に煤が降る月島に住む 漁城(ぎょじょう)移るにや寒月の波さゞら ☆句集・返り花(抄) (甲鳥書林1943) 兄よりも禿げて春日に脱ぐ帽子 炬燵今日なき珈琲の熱さかな 神輿いま危き…

四葩

遺句集『風のかたみ』多田智満子/高橋睦郎編(書肆山田2004)より抜粋 身の内に死はやはらかき冬の疣 薄日さす白き草の府草の王 春寒くのみどにうごく佛かな 滿開の椿ごもりや隱れ鬼 甕埋めむ陽炎くらき土の中 道は道に迷ひて春の道祖神 舞へや舞へ片目つむり…