echireeeee

echire☆echire project 俳句の記録

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

杖の音に歩幅合わせて白木槿

『不器男百句』 坪内稔典・谷さやん編(創風社出版/2006)より抜粋 永き日のにはとり柵を越えにけり 人入って門のこりたる暮春かな 向日葵の蕋を見るとき海消えし 川蟹のしろきむくろや秋磧 あなたなる夜雨の葛のあなたかな 花うばらふたたび堰にめぐり合ふ み…

何を?永遠 リアシートには蜻蛉乗せ

1920年8月22日はアメリカのSF小説家、レイ・ブラッドベリが生まれた日。ブラッドベリと言えば、『ウは宇宙船のウ』 子供の頃、萩尾望都の漫画が初読なので、非常に身近と言うか思い出深い、大好きな作家さんである。後日大人になってから原作を読み、ブラッ…

誑かす猫のあとさき濃朝顔

見切品の棚から立派な桃を取り上げて 貧しい我家の盆支度は これでおしまい 桃の皮をむくのは難しくないかと聞かれ アボガドと同じだよと答える 柔らか過ぎると駄目だけどね 黒ずんだ跡を隠すように 冷蔵庫に二つ並べて格納する 夜までここで 静かに出番を待…

とぐろ巻く光の雫花氷

朝はまず薬缶に水を入れることから始まる。お仏壇に供えるお茶を沸かす為だ。 幼い頃親から教え込まれたので、どこの家でもそういうものだと思っていたが、案外珍しい作法のようだ。そもそもお仏壇が無い家もあるのだもの、何をお供えするのかは千差万別、ご…

向日葵や有象無象のしんがりに

俳壇や歌壇、句会や歌会、文芸の世界全般に、エコーチェンバー現象は見受けられる。どの範囲で輪が閉じられるかはその時々、扱われるテーマにもよるが、場合によっては息苦しさを伴う。 同時期に俳句を始めた人の中には、作品を作る事よりも、週末の居場所作…