echireeeee

echire☆echire project 俳句の記録

山茶花や金平糖を忍ばせて

『恋人たちはせーので光る』 最果タヒ(リトルモア2019)より抜粋

 

 

 

距離感

 

巨大な鉄球が飛んで来るみたいに、わたしは昔のことを思い出し、そうしてこれから弁解のために生きていくのだと思い知る、ちぎった花びらの数だけ、きみの爪は割れるだろう、その関連性には気づかないまま、人生を終えるだろう、自分の体が土に埋められ、そこにどんな花が咲くか、そんなことを気にしない人だから、それでもいい。獣たちはそのことばかり気にして、生きているのに。

(後略)

 

 

 

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最果さんも35歳か…詩の批評に作者の年齢はほぼほぼ関係ないが、あえて呟いてみる。

 

読者と共に成長するのか、同じポジションで新たな読者を獲得するのか、この人に限ってはいまだ未確定。どちらかと言えば後者なのかな?若手の詩人としては一番有名だと思うけれど…詩に縁がない人にとっては、それ誰?というレベル。残念ながら仕方ない。代表作はどれかと聞かれると私も答えに詰まるし…彼女自身、自分が書いているものが「詩」なのか何なのか、判然としていない節もある。

 

その手法を分析するならば、心に浮かぶものを書き留め、書いたものが詩となる、シュールレアリズムへの信奉が根底にある。現代詩の系譜としては、大きく外れていないと言える。

但し、彼女のようにネットを主戦場とする場合、「消費される」ことが前提となる。それは詩にとって良いことなのかどうか疑問が残る。どうやって質を確保していくのか、まだまだ課題は多い。