『才人と俳人 俳句交換句ッ記』堀本裕樹(集英社2023)より抜粋
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小鳥たち交わり散ってここは未来 小林エリカ
舌と舌離るる刹那小鳥来る 堀本裕樹
宝船の残骸打ち寄せて夜明け 藤野可織
橙が群青に落ち葉は宙ぶらりん 児玉雨子
春昼や鳩の出でざる鳩時計 川上弘美
春昼の杖つと倒れ蛇となる 堀本裕樹
斑猫や火星のような庭に飛び 桃山鈴子
鹿の諸目にはさまれて風やみぬ 阿部海太
読みさして栞ななめに去年今年 松浦寿樹
字を追へばしたたりだせり去年今年 堀本裕樹
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ゲストは提案された季語の中から好きなものを選び、俳句とエッセイを提出。堀本氏がそれに応えて句を返す、すなわち「挨拶句」としての側面に特化した企画と言える。
俳句だけで選ぶと上掲あたりが私のお気に入りなのだが、エッセイと合わせて読むと又違う評価になるのが面白い。又吉直樹氏の「一本の歯ブラシ憎し春寒し」は、俳句は並だがエッセイは秀逸、今回のイチオシである。
夥しい目が翅音が虎落笛