echireeeee

echire☆echire project 俳句の記録

2021-01-01から1年間の記事一覧

塀高く何処までとどく黒日傘

エシレバターのエシレ(echire)をハンドルネームに使っているが、エシレバターが格段好きと言うわけではない。梅阪の地下に売場ができるまで実際に目にする事は無かった幻の存在、高級食材エシレバター。 何故この言葉を選んだのか言うと「穂村弘」である。 …

当代も捨て猫となり額の花

白い丸襟のブラウスに海老茶のプリーツスカートを着せてもらい、お姉さんになった気分で、朝から私は上機嫌だった。これまた他所行きの半ズボンを履いた弟を従えて、二人で家中を走り回っていた。 座敷の襖は外され、チョウダ(納戸/寝所)の和箪笥も大人数人…

夏草や切株巨き影重ね

小学校の教科書に、緑の美しい五月に生まれたので「みどり」と言う名前になりましたと言う話があった(気がする…うろ覚え)。そしてお決まりの、名前の由来についての作文が宿題となった。 当時は自分の名前があまり好きではなかったので、どうにも筆が進まず…

爪立ちて眼は一点を蟻地獄

YouTubeで古いドラマを観ながら眠りにつく=寝落ちするのが習慣なのだが、最近嵌まっているのが吹替版のシャーロックホームズである。ホームズを露口茂、ワトソンを長門裕之が演じている。やや一本調子の露口ホームズのしゃべり方が、眠気を誘って心地良い。…

鳥交る背には暗黒夥し

静かな街に朝が来る 小鳥達は何をお話しているの 言葉が通じない私にも さっきから優しく語りかけてくれている お返事しましょうかね 気の利いた言葉を探しているうちに 話題が次々と変わってしまうので 目を瞑ったまま 時折頷いてやることにする 女王様の謁…

鞦韆や月夜にすはり溝を引く

仲良くしている営業さんが、六月から産休に入りますと挨拶に来られた。在宅勤務が一年も続くと、いつの間にかお母さん!という人も二人目である。来月から補充が一人入るという話だったが、顔を合わせるのは何時になることやら… 経営陣はコロナ終息後も基本…

山躑躅豪傑笑い疾り抜け

分け入つても分け入つても青い山 種田山頭火 金子兜太はこの句について 「ヴァガボンドの感傷と憧れとでもいいたいような、角笛の哀調がある。心奥の難に疲れはてている人間の放浪句というよりは、多感な戸惑いがちな旅感の句として読める。」と書いている。…

初蝶来もっとも白きものを見る

承前 伯爵、お帰りなさい。体調はいかがですか? 左手を拝借。明日まで経過観察期間となりますので、極力大人しくして下さいね。少しでも異変があれば医局へご連絡を。 ふむ、なかなか美しいものだね、春という季節は。私も駐在員に立候補しようかしら。 だ…

迷い子の手にする童話花明り

お花見に行きたいが電車に乗って遠出するのも気が咎める。家の周りも桜だらけなのにまだ見足りないのかと笑われたが、日常からほんの少し離れてみたい訳よ。要するに休み明けに同僚に提供する話のネタが欲しいの…で、緑地公園まで歩くことにした。 緑地の森…

底光る翡翠のピアス彼岸入り

ドラマの『エアガール』を流し見しながら、そう言えば高校の同級生が何人かスチュワーデス試験に受かってたなと思い出しました。懐かしいですよね、キャビンアテンダントではなくスチュワーデスと呼んでいた頃のお話。 公立高校だったので経済的な理由で進学…

汽笛遠く緩まるあたり島遍路

四国遍路の庵主によく当たる霊能力者がいる、と従姉妹が聞き付けてきたのが発端だった。霊能者なんて胡散臭くて普段は近づかないのだが、お遍路さんのバイアスがかかるとなんとなく許せてしまうから不思議だ。たまたま暇な時期だったので、私も両親に後にく…

風のまま歩く菜の花加わらせ

学生時代、私は極力文字を書かずに過ごしていた。と言っても落ちこぼれていた訳ではない。ノートに書き写すのではなく、目で読んで片っ端から記憶する、そういう勉強の仕方が性に合っていたのだ。ゲームをクリアするのと同じ感覚で、問題と答えをセットにし…

片隅に闇が生まれる雛飾

阪神大震災の後、芦屋の邸宅で古いお雛様を見せて頂いたことがある。気品のあるお顔立ち、見るからに古風なお衣装、少々傷がついたので修繕に出すというお話だった。成る程本当のお金持ちとはこういう品を好まれるのかと大変勉強になった。 我家のお雛様は、…

自己紹介としての挨拶句

2014年から俳句を作り始め、ほぼ全部をnoteで公開してきました。例外として2019年の秋からTwitter用の挨拶句を幾つか作っています。 *魔法使いの弟子の日常ゐのこづち *童子童子童子つづきて雪女 *人間はもう帰らない鐘朧 *金魚売りきりぎし御覧なすった…

echireeeee よりご報告

noteからお引越しすることにしました。 ゆっくり書いて何度も読み返す、そんな場所にしたいと思います。