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echire☆echire project 俳句の記録

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

実朝忌

『三橋鷹女の100句を読む』川名大(飯塚書店/2022)より抜粋 * * * * * * * 馬ほどの蟋蟀となり鳴きつのる (白骨S16) 花辛夷盛りの梢に縊れたし (諷詠派S23) ふらこゝの天より垂れて人あらず (白骨S25) 白骨の手足が戦ぐ落葉季 (白骨S26) 綿蟲に陽が射…

細雪

『岡井隆と現代短歌』加藤治郎(短歌研究社2021)より抜粋 * * * * * * * 楕円しずかに崩れつつあり焦点のひとつが雪のなかに没して 蒼穹は蜜かたむけてゐたりけり時こそはわがしづけき伴侶 手をだせばとりこになるぞさらば手を、近江大津のはるのあは…

女正月

『音楽』岡野大嗣(ナナロク社2021)より抜粋 * * * * * * * 映画館をスクリーンまで歩くとき森の枯れ葉を踏みゆくここち 音楽は水だと思っているひとに教えてもらう美しい水 犬がとまる 春なら花見で座れないベンチの前に何かをみてる 片方が世界に落…

破魔弓

『はるかカーテンコールまで』笠木拓(港の人2019)より抜粋 * * * * * * * 秋の日のこんな大きな吹き抜けに誰ひとりひざまずいていなくて うまれたらはこぶしかないからだかな缶入りしるこ入念に振る ゆっくりと柄杓の水を持ちあげて注ぎぬ龍の頭の上…

(17)新年【2015-2020】

* * * * * * * 狛犬や悪意或いは悪を喰む 力足ずいと加勢はいらぬわい 初御空つまりは凧になる途中 地底の水車夢をみる福沸し 白刃はみな美しき凧あがる 初春や村で最古の御文章 初釜に優しき菓子の色添えて スペイドのクイーン目開く春着かな 水底に…