『全山落葉』仲寒蟬(ふらんす堂2023)より抜粋
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海底に沈む神殿月日貝
炎昼や壁に塗り込められし門
どの水も人を欲して桜桃忌
たんぽぽをたどればローマまで行ける
黒板のゆるき湾曲冬に入る
どの扉開けてもそこが春の牧
逃げて来て稲妻の尾を戸にはさむ
春昼を食つてこんなに大きな犀
遠からず人間になる鶏頭花
むささびや夜のどこかにひらく火山
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
仲寒蟬氏の第3句集。楽しく詠んでいるのが伝わってきて、読後感がなんとも心地よい。
現象があって、観察する自分がいて、それを眺めるもう一人の自分がいる、メタ世界感。現代川柳作家に近い感覚と言えるだろう。
どこからか聖歌ひろがるどこまでも