『宇宙人のためのせんりゅう入門』暮田真名(左右社2023)より抜粋
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
川柳がわたしに教えてくれようとしているのは、「生産性」とか「業績」みたいな社会的な値つけができない側面が世界にあるってこと。
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
川柳も上手いけど、エッセイも上手い!
『死んでいるのに、おしゃべりしている』(柏書房2025)も大変読みやすいのでお薦めです。


『宇宙人のためのせんりゅう入門』暮田真名(左右社2023)より抜粋
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
川柳がわたしに教えてくれようとしているのは、「生産性」とか「業績」みたいな社会的な値つけができない側面が世界にあるってこと。
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
川柳も上手いけど、エッセイも上手い!
『死んでいるのに、おしゃべりしている』(柏書房2025)も大変読みやすいのでお薦めです。


『ゆきどけ産声翻訳機』暮田真名編著(左右車2026)より抜粋
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
たすけてくださいと自分を呼びにゆく
佐藤みさ子「呼びにゆく」
永遠と書くゆうぐれもかりうども
清水かおり「現代川柳の精鋭たち」
銀河から戻る廊下が濡れている
加藤久子「現代川柳の精鋭たち」
ビル、がく、ずれて、ゆくな、ん、てきれ、いき、れ
なかはられいこ「くちびるにウエハース」
菜の花菜の花子供でも産もうかな
時実新子「月の子」
美しい国へ行くと言う 乗れと言う
林田馬行「林田馬行集」
むこうから白線引きがやって来る
樋口由紀子「容薫」
ていねいに洗い小さきかおになり
児玉はる「むらさきの衿」
ネクタイの締めかたも忘れ鳥の名も忘れ
楢崎進弘「現代川柳の精鋭たち」
いけにえにフリルがあって恥ずかしい
暮田真名「ふりょの星」
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
暮田真名氏による現代川柳アンソロジー。かなりマニアックで読み応えがあった。全くの初心者というよりは、ある程度知識のある経験者向け。
川柳、一部の俳句に顕著な「してやったり」感がどうも苦手で敬遠しがちなのだが、上掲の不可思議な句などは私の大好物である。

『死なない猫を継ぐ』山中千瀬(典々堂2025)より抜粋
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
(行くあいだあかりを消してはならない かわいた湖底の端から端へ)
(このあとに戦争が来る) とおもいながら指はページをめくり続ける
仰向けに本をひらけば落ちてくる無数のしおり代わりの半券
あたしたちは死なない猫を継ぐ種族 本棚の本まじらせながら
どのことばを捨てたか捨てたから言えない
きんのあみきんのあみくるくるくぐりとこにも続かない道を行く
金魚飲み込んでも金魚あたしにはならないからかなしいね、金魚
銀紙が降りスノードームだと知った
場違いだったと思う けどいい 靴底にくっついて海を越える花びら
風の音 浅瀬でハゼの跳ねる音 なぜ死んだのと誰に言えって
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
短歌も川柳も、どちらも作風は同じで一貫性がある。自然体で穏やかな世界観。
栞文 馬場めぐみ/平岡直子/錦見映理

『メキシコ』三角みづ紀(ナナロク社2025)より抜粋
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
スコール
まだ
足跡のない
道をさがして
知らない壁の色
身体のなかで
湿度がめぐり
ハチドリも休憩している
あまい蜜にあつまっている
夕方になり、雷鳴
あわてて
屋上に向かい
洗濯物をしまった
光が線になって
くりかえし描いて
驟雨のひととき
はじまりの雫は
アスファルトを
やわらかくして
ほんとうの雨季がやってきた
日が暮れるまえの空が
頬をあからめている
みんな待っていたのだ
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
第十詩集。後半のエッセイを読んでから再び詩を読むと、この詩たちが生まれた工程を追従、追体験できる。
散文と詩の境目はどこなんだろう。只の日記が詩になる不思議。

『土屋文明の百首』河本千栄(ふらんす堂2025)より抜粋
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
かはるがはる幼き二人おぶひつつ登る峠に夏雲雀なく
しかすがに草野の中をゆく水をこひ思ひつつ眠る今夜も
新しき地図を買ひ来て夜ごと読むいづへの海に行きて眠らむ
夕光うするる山に手をとりてつつじの花も見えなくなりぬ
人すてて去りたる炎守りつつ時ありき潮の高くなるまで
馬と驢と騾との別を聞き知りて驢来り騾来り馬来り騾と驢と来る
(うまとろとらとのわかちをききしりてろきたりらきたりまきたりらとろときたる)
春の日に白鬚光る流氓一人柳の花を前にしやがんでゐる
にんじんは明日蒔けばよし帰らむよ東一華の花も閉ざしぬ
何ひとの賜物なりや多く忘れ花咲けば花にただよりてゆく
いつの間に時は行くのかなびき合うすすきの原にこゑののこりて
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
代表歌は省き、ちょっと引っかかった歌を選んでみた。
題材は現代でも通じるが、文語表現の為何やらゆかしく感じる。

『現代短歌パスポート6 石になるための準備号』(書肆侃侃房2025)より抜粋
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
小原奈実 鷹の墓
左から夜は来むとして花合歓の蘂を浸せる水彩の空
中庭に満つる夕陽の鈍痛を草木ふるはすもののよぎりぬ
左右より萩の挟むるこの道の先はおのれを脱ぎてゆくべし
ものの音なべて遠のく庭園に鷹の墓ある隅のすずしさ
質量のまどかに凝りそむるさま見えて椿のあをき実の垂る
笹川諒 宇宙樹
晩夏の生身は凪いでゆきながら遠い和音のさびしさに在る
未読から既読へ到る花群の中に狐は 何かを越えて
夢だと知ってからも見ていた飛行機の窓に映ったあなたをずっと
白鷺をこころに飛ばすあたたかい領土のあたたかい汀まで
僕は少し疲れて、あなたはしなやかな森から現在地へ線を引く
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
著者/ 田村穂隆/土岐友浩/石川美南/左沢森/竹中優子/小坂井大輔/小原奈美/藪内亮輔/笹川諒/山田航
左沢は「あてらざわ」だったと思い出すなど、だんだん短歌界に詳しくなってきた気がして嬉しい。

『これからの友情』丸田洋渡(ナナロク社2025)より抜粋
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
噴水のあたりを顔が飛んでいるくすんだオリーブの木の林
間違えて電気を消すと間違えてあなたも消える あなたを戻す
眼のういるす 花のういるす 球体のメリーゴーランドが水浸し
爪さくらいろ/さくら爪いろ/どうやって生き残りつづけるつもりなの
雲形定規と名付けた人に祝福を ひと眠りから覚めてひと眠り
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
とても美しい装丁の歌集
見てもいない夢や、これからみる夢
