echireeeee

echire☆echire project 俳句の記録

2022-10-01から1ヶ月間の記事一覧

穴惑

* * * * * * * * * * 白い羽根が一枚堕ちてゆく 北窓は光に満ち 遠く工事現場のクレーンが動き始める 窓際で豆苗はすくすくと育つ シンクの中のお皿とお箸、マグカップ たったこれだけの物を洗うことができなかった 昨日の自分を嗤え 詰め替えない…

撫子

『君に目があり見開かれ』佐藤文香(港の人2014)より抜粋 柚子の花君に目があり見開かれ 手紙即愛の時代の燕かな 歩く鳥世界にはよろこびがある ひかりからくさりかいしてぼくのきず 醒めてゐてひかりをひととみまがへる 今日の手をあつめてすすぐ月の庭 たん…

木犀

『定本 現代俳句』山本健吉(角川書店1998)より抜粋 加藤楸邨 かなしめば鵙金色の日を負ひ来 (前略)秋の夕べの輝きを負って、鵙が高音を張りながら一直線にこちらの樹へ飛翔してきたのである。「鵙日和」とか「鵙の晴」とかよく俳句で用いられるように、その…

秋天

『孤燈春秋──俳句、言葉の空間』 塚本邦雄(五音と七音の詩学 大岡信編/福武書店1988)より抜粋 暮れ早き燈に躍りいづ萩一枝 加藤楸邨 萩の花くれぐれまでもありつるが月出て見るになきがはかなさ 源実朝 ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ…

雁来紅

『竹林凊興』北原白秋(現代俳句集成別巻1文人俳句集 河出書房新社1983/靖文社1947)より抜粋 聴けよ妻ふるもののあり たまさかに浪の音して夜の雪なり 震後 日は閑に震後の芙蓉なほ紅し (家大破して住むに能わず) 紅い芙蓉をひとまはりして来る子です 雁来紅…