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echire☆echire project 俳句の記録

2021-09-01から1ヶ月間の記事一覧

無花果の果肉ついばみ狂う哉

『水界園丁』 生駒大祐(港の人2019)より抜粋 枯蓮を手に誰か来る水世界 あぢさゐの朽葉裏より錦鯉 六月に生まれて鈴をよく拾ふ 水中に轍ありけりいなびかり ゆと揺れて鹿歩み出るゆふまぐれ 装丁の美しさでも話題になった句集である。勿論、中身も粒揃いで美…

とどまるにせよ、ここでお別れ曼珠沙華

三橋鷹女『羊歯地獄』自序より 一句を書くことは 一片の鱗の剝脱である 四十代に入つて始めてこの事を識つた 五十の坂を登りながら気付いたことは 剝脱した裏跡が 新しい鱗の芽生えによつて補はれてゐる事であつた だが然し 六十歳のこの期に及んでは 失せた…

人里にまぎれうごめき鶏頭花

『水の聖歌隊』 笹川諒(書肆侃侃房2021)より抜粋 椅子に深く、この世に浅く腰かける 何かこぼれる感じがあって かなしみを薄く伸ばして紛らわす夜の隅は地域猫に任せて 手は遠さ 水にも蕊があると言うあなたをひどく静かに呼んだ 呼びたい、と思えばひかり。…

稲妻やペガーナの鞠狩りたてる

先月末、桜庭さんと鴻巣さんの論争を偶然目にし、どう決着するのか心配しながら見守ってきた。すっきりと解決するにはまだ時間がかかりそうだが、時間がかかることによって無難に解決する事もあるのかなと思う。(昔人間の発想でごめんなさい。) 基本的には桜…