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echire☆echire project 俳句の記録

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

枯菊の風に身じろく都市封鎖

『ひとり』 瀬戸内寂聴(2017深夜叢書社)より抜粋 菜の花や神の渡りし海昏く 星ほどの小さき椿に囁かれ 雛の間に集ひし人のみな逝ける 話題となった文豪の俳句集である。当然ながら後半のエッセイの方が上手い。語彙が豊富で技術を熟知しているだけに、簡単に…

湯豆腐や底にほころびあるがまゝ

『第一句集 定本 誕生』 鷹羽狩行(牧羊社/花神コレクション1994)より抜粋 書肆を出て銀漢ひくき方へ帰る 極寒や透きとほるまで斧を研ぐ 沖に出し流木に雪殺到す 菫かたまりて未完の詩のごとし 稲妻の夜となる砥石濡れしまま 落椿われならば急流へ落つ みちの…

水仙の一夜甘美な毒となり

『主よ 一羽の鳩のために──須賀敦子詩集』 須賀敦子(2018河出書房新社)より (夜毎くらがりに わたしはすはって) 夜毎くらがりに わたしはすはって 故郷を追はれた罪ないおまへの涙を 両の手に汲み ひとりのみほしては 苦い野のはての小花をつみあつめる。 …

虚空行く虚像のあわい初仕事

『星糞』 谷口智行(2019邑書林)より抜粋 御燈祭闇夜が胞衣を脱ぐごとし 葛の崖覗けり身投ぐべくもなく 踊らむか焼烏賊にほふ浜に出て 遠雷や野の踏切に海の砂 まなうらのあめつちに春来たりけり 乳透けて見ゆ呪師の夏衣 健次忌の辻々に立つ青をんな 川施餓…

大福や未来永劫誑かす

echire☆echire project 10年計画【operation】 2014年、買ったばかりのスマホを有効活用しよう、そうだ!俳句を作ってお〜いお茶に応募しよう!と、当時サービスを始めたばかりのnoteに、片っ端から書きとめていくことにした。 その時、適当に決めたタイトル…