echireeeee

echire☆echire project 俳句の記録

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

十薬

『定本多田智満子詩集』 多田智満子(砂子屋書房1994)より抜粋 水のひと すべては水であるのか ひとよ わたしは洩らしてしまいそうだ 夢のなかで あなたを さぐられながら さぐっている うかびながら うかべている うすいまぶたに はなびらをください (声は絵…

夏の蝶

『現代女性詩人論』中村稔(青土社2021)より抜粋 闇 多田智満子 まっくらな夜空に 薔薇が充満している 幾万もの薔薇がうごめいている わたしにはそれがわかる うなじに落ちるこの重い夜露が ひしめきあう薔薇の汗だということが 石垣りん、茨木のり子、多田智…

薄暑光

『その瞬間 創作の現場ひらめきの時』黛まどか(角川学芸出版2010)より抜粋 さくらさくらもらふとすればのどぼとけ 見送って沈丁の闇残りけり 水中花水が疲れてゐたりけり 七夕の空を映して忘れ潮 ひとつ灯に父母のゐる稲の花 ☆────────── 自選自解100句。14…

粽解く

ゴールデンウィーク中に引越してこられた方が多いのか、マンションのゴミ置き場が連日パンパンになっている。 びっくりしたのが、不透明黒のゴミ袋で出している人がいたことだ。しかも中身は空き缶?ペットボトル?すぐ横に分別ボックスがあるのに…どこから…

⑧夏【2020/やがて地獄へ下るとき】

五月雨や渡り廊下に朽木の香 空き席へ鳥の声降る青嵐 木下闇顔なき人の背の高さ ゆらゆらとうろくず集う夏野かな 夕焼を呑む恐竜うすむらさき 藪蚊来て夜更けの水に誘わるる 水妖の登るきざはし半夏生 夏痩せの少女うたたね消え易し 松葉牡丹赤くひろがる原…