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echire☆echire project 俳句の記録

2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

コスモス

『月と書く』池田澄子(朔出版2023)より抜粋 * * * * * * * * * * 芒は光なのか揺れると光るのか 目も耳もさわればありて菊月夜 白百合や息を殺したあとの呼気 夕焼に突っこむまぼろしのやんま 目が覚めて眠いと思う百合と思う 鶏病めば急ぎ殺して…

銀木犀

『快樂』水原紫苑(短歌研究社2022)より抜粋 * * * * * * * * * * 紫のきはまるところ藤ならむ欲望の房ながく垂れ嘔吐を誘ふ 雨の日は死にたくなきに紫の賜物の傘ささば煉獄 狼が犬となるまでひさかたの銀河にくらき壁見ゆるまで 何者と院に問はれ…

小鳥来る

『俳句鑑賞 1200句を楽しむ』宮坂静生編著(平凡社2023)より抜粋 * * * * * * * * * * 雪原の足跡どれも逃げてゆく 津川絵里子 水取りや氷の僧の沓の音 芭蕉 鶯の身をさかさまに初音かな 其角 蝶食ふべ二度童子となりにけり 柿本多映 陽炎のひとり…

舞茸

『吉増剛造詩集』吉増剛造(ハルキ文庫1999)より抜粋 * * * * * * * * * * ロサンヘルス (前略) 学校ニ、入ッテ行ッテ、教会ヲサガシタ。ワヲ作ッテ、花ヲサガシタ。 木箱ノ隅ノ、モモノ匂イ。 美シイ桃ガシッカリトケテ行ッタ。 木蔭、バス停、幾…

十五夜

『愛の詩集』谷川俊太郎編(サンリオ1990/初版1981)より抜粋 * * * * * * * * * * * 一詩人の最後の歌 H・アンデルセン 私を高く運んで行け、お前、強い死よ 魂の大きな国へ。 私は神が私に命じた道を進んだ 額をまっすぐにあげて。 私が与えたす…