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echire☆echire project 俳句の記録

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

④春【2020/やがて地獄へ下るとき】

春立つと雲居の小鳥呼びに来る 寒明けを唄い始めるジャムに蓋 薄氷や漂着船を抱き留める 天辺の禽獣ほうと霞立つ 交差する腕ごし梅の蕚かな 鳥帰る額の真中狙われて 花桃や踊る形に生まれくる 森の扉薄く開かれ蝶の昼 春深し案内頁にある折り目 紅躑躅押し分…

③春【2019/Que sais-je?】

春祭鬼面の演者滑り入る 冴返る紅殻闇に香たてて 踏みしだくオオイヌフグリの細胞 春あかつき幼生のままに漂う 水温む人魚は涙ごと溶けて 古本の栞美し花の影 抜けられなくともかまわない 花蕊降る 太陽の塔へ降る宇宙塵朧月 復活祭半裸のトルソ窓に寄り イ…

②春【2018/薹上に餓ゑて月】

淡雪や一歩押し広げる円周 春は手を挙げてから来る空まがう 水底に廃る王宮花あしび 散る花もすがり黄衣の僧二人 春重し初手の石置く山の音 山裾に声色隠す春障子 ハトロンの絵本をめくり燕来る ダンディライオン首長くして我を噛む 緋の椅子は妖しく沈む春…

① 春【2015-2017】

踏み出せば蹠一つ分の春 春の馬場ひかれて続くお静かに 切り株やあるべき空に鳥の影 春。青空に投げる箱は空っぽ モネの庭長い長い長いお話 紫木蓮誘い込まれて行き止まり 足重き街にブルース紫木蓮 盤上に駒音続く花の雨 一つ星耕し終えた地の匂い 花明り自…