『文豪と俳句』〈川上弘美〉の章──小説をヒントに読み解く俳句の謎 岸本尚毅(集英社新書2021)より抜粋
人魚恋し夜の雷(いかずち)聞きをれば
目ひらきて人形しづむ春の湖
十六夜や川底の人浮かびくる
あめみたよなこゑのをんなだつたよな
春の夜人体模型歩きさう
初夢に小さき人を踏んでしまふ
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
難解な川上弘美の俳句をどう読み解けば良いのか、岸本氏が優しく丁寧に解説している。もれなく小説の方も読みたくなるのがなんとも悩ましい。(読みなさい)
専門俳人の岸本氏は小説家の俳句についてどう捉えているのだろう。多分本心は内田百閒の下記の談義に近いのではないかと思われる。
「…文士は言葉を扱う者であるから、俳句の作法を聞けば、自分の豊富な語彙を以て何とか尤もらしい句形を整える事は出来るのであるが、その十七音が俳句になる前に既に作者の方に一つの標準があり批判があり、それに当て嵌めて俳句を捏造する…/百鬼園俳句帖」
なかなか厳しいお言葉であるが、言わんとするところは理解できる。何も文豪に限った話ではなく、俳句界全般に蔓延する問題とも言える。
しかし、そこまで俳句に期待する?と冷めた目で見てしまう私もいる。つまる所、私は俳人に向いていないのであろう。
閑かさや館取り巻く曼珠沙華