『漱石俳句を愉しむ』 半藤一利(PHP研究所1997)より抜粋
朦朧と霞に消ゆる巨人哉
或夜夢に雛娶りけり白い酒
ものいはず童子遠くの梅を指す
短夜の芭蕉は伸びて仕まひけり
五月雨の弓張らんとすればくるひたる
細き手の卯の花ごしや豆腐売
竿になれ鉤になれ此処へおろせ雁
白壁や北に向ひて桐一葉
憂ひあらば此酒に酔へ菊の王
凩や海に夕日を吹き落す
あんかうや孕み女の釣るし斬り
安々と海鼠の如き子を生めり
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松山・熊本時代の俳句を取り上げ、半藤氏が縦横無尽に鑑賞されている。漢詩趣味、妖怪趣味、古典趣味、江戸情緒たっぷりのお色気句等々…駄句が多いと言われる漱石ではあるが、読む人に知識と想像力さえあれば、こんな風に愉しく読み解けるのかと感心然りである。
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藍浴衣肩で襖を押すように