☆牧唄句抄(中央公論1922)
朝顔に煤が降る月島に住む
漁城(ぎょじょう)移るにや寒月の波さゞら
☆句集・返り花(抄) (甲鳥書林1943)
兄よりも禿げて春日に脱ぐ帽子
炬燵今日なき珈琲の熱さかな
神輿いま危き橋を渡るなり
老人端坐せり秋晴をあけ放ち
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
久米正雄と聞いて小説家と解る方は、最早少ないのではないか…
1891年(明治24年)生まれ。17歳で俳句を始め、俳号は三汀。芥川龍之介、菊池寛、松岡譲らと新思潮を創刊。後に夏目漱石門下となる。
(お時間ある方はWikipediaをご照覧下さい。)
これと言った代表作は無いが、この人の人生そのものがドラマチックで大変興味深い。
23歳で句集『牧唄』、52歳で『返り花』、晩年と言ってもよい55歳で『久保田万太郎 久米正雄 互選句集』を刊行。文人俳句とは一線を画す、所謂玄人好みの端正な句を残している。
梔子のはなびら浮かべ無一物