echireeeee

echire☆echire project 俳句の記録

梔子のはなびら

久米正雄作品集』石割透編(岩波文庫2019)より抜粋

 

 

 

☆牧唄句抄(中央公論1922)

 

朝顔に煤が降る月島に住む

漁城(ぎょじょう)移るにや寒月の波さゞら

 

 

 

☆句集・返り花(抄) (甲鳥書林1943)

 

兄よりも禿げて春日に脱ぐ帽子

炬燵今日なき珈琲の熱さかな

神輿いま危き橋を渡るなり

老人端坐せり秋晴をあけ放ち

 

 

 

ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ

 

久米正雄と聞いて小説家と解る方は、最早少ないのではないか…

 

1891年(明治24年)生まれ。17歳で俳句を始め、俳号は三汀。芥川龍之介菊池寛、松岡譲らと新思潮を創刊。後に夏目漱石門下となる。

(お時間ある方はWikipediaをご照覧下さい。)

 

これと言った代表作は無いが、この人の人生そのものがドラマチックで大変興味深い。

 

23歳で句集『牧唄』、52歳で『返り花』、晩年と言ってもよい55歳で『久保田万太郎 久米正雄 互選句集』を刊行。文人俳句とは一線を画す、所謂玄人好みの端正な句を残している。

 

 

 

f:id:echireeeee:20220613005749j:image

 

梔子のはなびら浮かべ無一物