『ウォーターリリー』川野里子(短歌研究社2023)より抜粋
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(ていねいにするどく爪で折つてゆく黙らせるための鶴のくちばし)
(折つて折つてちひさくなつたら指先で押さへて ここが心臓あたり)
水掬ふとひらく掌アーナンダこの奇怪なる花を見てみよ
カ・ナ・リ・ア飛び移るたびに分裂したくさん死んでなほ籠のなか
ウォーターリリーふれたら逃げるウォーターリリー呼んだら消える
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
コロナ禍を経ての第八歌集。俳句ではまず無理な時事詠が多く取り入れられ、貴重な時代の記録となっている。連作として1冊としての完成度も高い。
非常に理知的な作風で、解説が必要な歌はほぼ無いのだが、それでは面白く無いので、敢えて曖昧模糊な妖しい五首を残してみた。
銀杏落葉ひとつくらいはもっている