echireeeee

echire☆echire project 俳句の記録

銀杏落葉

『ウォーターリリー』川野里子(短歌研究社2023)より抜粋

 

 

 

 

 

 

(ていねいにするどく爪で折つてゆく黙らせるための鶴のくちばし)

 

(折つて折つてちひさくなつたら指先で押さへて ここが心臓あたり)

 

水掬ふとひらく掌アーナンダこの奇怪なる花を見てみよ

 

カ・ナ・リ・ア飛び移るたびに分裂したくさん死んでなほ籠のなか

 

あの崖からこの崖から水仙の香り飛びわれはあやふくゐる爪木崎

 

ウォーターリリーふれたら逃げるウォーターリリー呼んだら消える

 

 

 

 

 

ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ

 

 

 

コロナ禍を経ての第八歌集。俳句ではまず無理な時事詠が多く取り入れられ、貴重な時代の記録となっている。連作として1冊としての完成度も高い。

 

非常に理知的な作風で、解説が必要な歌はほぼ無いのだが、それでは面白く無いので、敢えて曖昧模糊な妖しい五首を残してみた。

 

 

 

f:id:echireeeee:20231203223515j:image

 

 

銀杏落葉ひとつくらいはもっている