echireeeee

echire☆echire project 俳句の記録

花の雨

「京大俳句」と「天狼」の時代 平畑静塔俳論集(沖積舎2008)より抜粋

 

 

■現代俳句の面白さ

 

*虚子の俳句には、所謂モラルというものは乏しい…モラルが無いから無遠慮で自由で、石ころでも葉っぱでも虚子の手にかかると艶を帯びて色気が出てくる…こういう俳句と絶縁した現代俳句に、面白さが稀薄になってもそれは自業自得

 

縁先を片足下りて蚤振ふ/誓子

*トリイビアルで日常的で無意味で少し下品。川柳との境を一歩厳に守って、而もその通俗性と隔絶している。

 

がらくた荷離さで転落青谷へ/草田男

*奇怪千万、奇想天外、底抜けの楽天

 

水を釣つて帰る寒鮒釣一人/永田耕衣

*気分の面白さ、酩酊陶酔の所産

 

ひらひらと月光降りぬ貝割菜/川端茅舎

*息を呑むスリル、悪こそ善の別名、花鳥諷詠俳句の面白さ

 

 

*俳句に一定の目的を与えたことが俳句の面白さを消失さして行った。

*面白しとする俳句が、現代俳句の栄養素をなしていると信じている。

 

 

ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ

 

第一章「京大俳句」第二章「天狼」第三章「現代俳句論」第四章「定型のこと」第四章「私の俳歴」

 

 矢張り第一章が圧巻であるが、ここでは第三章から「面白さ」に関する論考を切り取ってみた。静塔氏の「面白い」は解らなくもないが、まだまだ真面目だなと感じてしまう。一茶に匹敵する面白さは上掲には見当たらない。

 

ともあれ、最近は短いWEB記事に慣れてしまい、物理的に分厚い本を手にすると読み通せるのか不安になってしまう。特にこういう専門書は基本的に拾い読みで、読み返すことは滅多にない。枕にして寝てる間に頭に入ればいいのにねぇ…

 

f:id:echireeeee:20230327001213j:image

 

も一人の我が笑って花の雨