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echire☆echire project 俳句の記録

片陰り

『返り花』久米正雄 (増補現代俳句体系第五巻/角川書店1981)より抜粋

 

 

 

松柏の嵐の底や返り花

 

うらゝかや袱紗畳まず膝にある

一筋の水を落して梅の門

 

夏めくや合せ鏡に走る虹

夏めくや軋るお厨子の蝶番ひ

蚊帳の香のほのかなる闇へ踏み入りぬ

 

島の崖一つ紅さす鰯雲

あたゝかき乳房を押へ秋扇

ぎん色の橋となりけり花火ちる

 

一片の寒木瓜を吐き人逝きぬ

 

 

 

 

 

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『返り花』が収録されている『現代俳句体系』を図書館から取り寄せてみた。

見返しには関係者のビックネームが並ぶ。本当にこの人達生きてたんだなぁ〜と、ちょっと感動。

 

現代俳句体系は全15巻、昭和3年〜54年で完結している。句集は古書で出回る事が少ないので、こういう全集は大変有難い。

 

ネットには無い情報も、紙の本にはちゃんとあるという事を、調べ物をする度に思い知らされる。もっともっと図書館を使いこなせる人になりたい!

 

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片陰り白で始まる千羽鶴