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echire☆echire project 俳句の記録

舞茸

吉増剛造詩集』吉増剛造(ハルキ文庫1999)より抜粋

 

 

 

 

 

 

 

 ロサンヘルス

 

(前略)

 

学校ニ、入ッテ行ッテ、教会ヲサガシタ。ワヲ作ッテ、花ヲサガシタ。

木箱ノ隅ノ、モモノ匂イ。

美シイ桃ガシッカリトケテ行ッタ。

 

木蔭、バス停、幾人もの人の影。

バスも来ると木蔭に消える。

誰だろう。

(ラファエルロ?)

 

 ブエナノーチェ。

 鐘ガナリハジメタ、風ガフイタ。

 黄金ノ町、ロスアン、ヘレスノ、

 クワトロ、セイス?

 

アマリオスダ

 

「牝牛がなく

 牡牛がなく

 

  牛がなく」

 

泣けよ

 

青森

ロサンヘルスだ

 

 

 

 

 

ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ

 

吉増剛造の1964年から1998年までを俯瞰して、文庫版として読まれることを前提に編纂された一冊。(稲川方人編)

 

長篇が多く、難解な語句や比喩、尋常でないモチベーションの高さ等々…全く一般受けしない詩人である。現在も活動が続いている為、その評価は定まっていないが、代表作とされる作品の多くは初期に当て嵌まる。

 

抜粋した詩は1984年の『オシリス、石ノ神』から。初期の疾走感や閉塞感は影を顰めているが、詩人が到達した壮大な無辺の空間、一抹の不安を含んだ、静謐な詩の世界が広がっている。

 

 

 

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舞茸を裂く人類の糧として