『ヒューマン・ライツ』北山あさひ(左右社2023)より抜粋
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
ぎんなんの翡翠の玉はみっしりと 約束に似た復讐もある
何を話し何に怒るの現世になみだぶくろのラメこぼれゆき
オレンジと胡桃、涙とピスタチオ、薔薇と荒野のパウンドケーキ
回転性眩暈にそっと傾ぐとき暗き花びらながれゆく見ゆ
オルゴール仕掛けの回転木馬から青きわたしが下りて戻らず
本棚に隠し扉があるように五月の森に昏き橋あり
ヘブンズ・ドアー わたくしという一冊に冷たき海の見開きがある
羽根いくつも風に流れてさようなら百年瞑り百年開く
忘れない 忘れる 忘れてもいいよ 茎から赤い水をこぼして
まよなかの雪をしずかに吸いながらみずうみ、傷はゆっくり癒える
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ