echireeeee

echire☆echire project 俳句の記録

偏愛図書館/2024-03

『ヒューマン・ライツ』北山あさひ(左右社2023)より抜粋

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ぎんなんの翡翠の玉はみっしりと 約束に似た復讐もある

何を話し何に怒るの現世になみだぶくろのラメこぼれゆき

オレンジと胡桃、涙とピスタチオ、薔薇と荒野のパウンドケーキ

回転性眩暈にそっと傾ぐとき暗き花びらながれゆく見ゆ

オルゴール仕掛けの回転木馬から青きわたしが下りて戻らず

 

本棚に隠し扉があるように五月の森に昏き橋あり

ヘブンズ・ドアー わたくしという一冊に冷たき海の見開きがある

羽根いくつも風に流れてさようなら百年瞑り百年開く

忘れない 忘れる 忘れてもいいよ 茎から赤い水をこぼして

まよなかの雪をしずかに吸いながらみずうみ、傷はゆっくり癒える

 

 

 

ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ

 

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