『三橋鷹女の100句を読む』川名大(飯塚書店/2022)より抜粋
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馬ほどの蟋蟀となり鳴きつのる (白骨S16)
花辛夷盛りの梢に縊れたし (諷詠派S23)
ふらこゝの天より垂れて人あらず (白骨S25)
白骨の手足が戦ぐ落葉季 (白骨S26)
綿蟲に陽が射し耳らおよぎ出す (橅以後S47)
いんいんと暮れて八ッ手の骨作り
千の蟲鳴く一匹の狂ひ鳴き
夜は夜の八ッ手の手毬死者の手毬
骨透いて蟲よ不眠の夜が来る
寒満月こぶしをひらく赤ん坊
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
待望の鷹女本。
川名氏がどの句を選ぶのか興味津々で手に取った。中々の渋いチョイス、評伝も容赦なく手厳しくて読み応えがある。
多くは連作として初出されており、句集に載っていない前後の句も合わせて鑑賞すると、作者の意図が一層解りやすいという。成る程、研究者というのはそこまで深追いするのかと恐れ入った。
途中でちょっと気になったのが、「中村節女」という謎の女の存在である。かなりヤバい人物だったようだが、
夏逝くやいみじき嘘をつく女
鷹女にここまで言わせるとは、面白いじゃないの…と川名氏も楽しんでいるのが良く解る。当時の事を知る人も少なくなり、謎は謎のまま、やがては忘れ去られてしまうのであろう。
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
雉虎は夜へと潜る実朝忌