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echire☆echire project 俳句の記録

細雪

岡井隆と現代短歌』加藤治郎(短歌研究社2021)より抜粋

 

 

 

楕円しずかに崩れつつあり焦点のひとつが雪のなかに没して

 

蒼穹は蜜かたむけてゐたりけり時こそはわがしづけき伴侶

 

手をだせばとりこになるぞさらば手を、近江大津のはるのあはゆき

 

来年もわれら同志でありうるかそれはわからぬそれが同志だ 『ヘイ龍カム・ヒアといふ声がする(まつ暗だぜつていふ声が添ふ)』

 

やや遠く熱源生るる家内の、いまさらどうしやうもないさ、さみだれ

 

 

 

「作者は、読者の前に姿をあらわしてはならない」

「作者は、無名でなければならない」

短歌は「畸の型」である。

 

 

 

叱つ叱つしゆつしゆつしゆわはらむまでしゆわはろむ失語の人よしゆわひるなゆめ

 

 

 

ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ

 

加藤治郎氏の評論をまとめた一冊。

前半は岡井隆氏追悼関連、後半がご自身も渦中にあるニューウェーブ&ライトバースの定義について。ほぼ全てが専門誌へ寄稿した文章なので、用語等難しすぎて残念ながら殆ど理解できなかった。

 

そんな中で、岡井氏がある時期に掲げていた作歌の条件が紹介されていた。

 

一 2006年6月ごろから書き出す。

二 朝の時間を選ぶ。毎朝書く。

三 小さな書斎の小さな机上に限定してかならずそこで書く。自家製二百字詰原稿用紙に2Bの鉛筆で書く。

四 約一箇月で完了する。

 

こうした努力の結果、一日8首、46日間で367首が作歌され歌集が編纂された。かなりのハイペース、やはり天才と言うべき人なのであろう。

 

 

 

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細雪紺地更紗の帯締め