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echire☆echire project 俳句の記録

⑩秋【2018/薹上に餓ゑて月】

 

青蜜柑唄の中ゆく貨物船

秋の潮無数に開くクラゲの眼

 

外は月夜らしい山椒魚黙す

木が走るかたかたかたかた良夜かな

狐花のりうつられていくけはい

白杖のしだいに細く十三夜

 

否と言う夢の覚め際秋彼岸

蹠は十字に痛む薄紅葉

 

指に垂れる針の尖端万聖節

崩れ落つ煉瓦露けしポーの村

 

 

 

 

 

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風の名前 (辻征夫)

 

 

窓の外に

風がいる

 

窓辺に行くと

風のやつ

頬にふれる

 

(お部屋の中を

通っていい?)

(いいよ)

 

風が吹いて行く

手をさしのべているのは

風の肉体にさわっているんだ

 

微風のマリー

隙間風のジューン

ミセス秋風

 

(マタサブロウは

どうしてる?)

(知らないわ)

 

吹きさらしの

暮らしである