echireeeee

echire☆echire project 俳句の記録

(12)秋【2020/やがて地獄へ下るとき】

 

 

ファーブルの帽子暗坂虫の声

葛の葉や帽子の裏の頭文字

 

しゃがみ込む人影蒼く酔芙蓉

鶏頭咲く小さな駅舎瓦屋根

 

塔、館、城塞越えて秋彼岸

天高し誰も凭れていない窓

 

嚔して人へと戻る刈田かな

金木犀歪んだ列の最後尾

 

琴柱窓ひそりと開く草の花

黒髪を広げて睡る木の実雨

 

 

 

 

 

 

 

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両手をあげて、夏へ 小島なお/女性とジェンダーと短歌(短歌研究社2022)より抜粋

 

 

尾の代わりの両手を垂らし生きている時間をそっと床に逃がせり

生んでいない子を思うこと増えながらあかるいパンジー大きなくらやみ

膝を抱く裸の身体ひとつぶん梅雨のシンクはまぼろしを容る

かなしみがコンビニをつよく光らせる 手すりづたいに感情をゆく

風見鶏 兵士には背中がないと日傘のなかで教えてもらう