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echire☆echire project 俳句の記録

祇園会

『さよならは仮のことば』谷川俊太郎(新潮文庫2021)より抜粋

 

 

 

 黒板 (あたしとあなた/2015)

 

(あなた)に

あたしを代入すれば

この式は

解けるのだろうか

 

黒板の

前で

立ちすくんでいると

みんな

帰ってしまった

 

こんなことは

何でもない

もっと

差し迫ったことが

あるのに

思い出せない

 

あなたが

戻って来たので

あたしは

涙ぐんだ

 

 

 

☆──────────

 

『二十億光年の孤独』から『ベージュ』までの主な詩集から編集部が独自に編んだ詩選集。谷川俊太郎の場合、どの詩も出だしが良い。

 

小津夜景氏が解説の中で、良寛漢詩との共通点をあげている。夜景さんの翻訳も素晴らしいので併せて引用しておこう。

 

孰謂我詩詩

我詩非是詩

知我詩非詩

始可与言詩

 

僕の詩を詩だというのは誰か

僕の詩、それは詩ではないのだ

僕の詩が詩でないと分かる人こそが

はじめて僕と詩を語ることができる

 

 

 

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