『月と書く』池田澄子(朔出版2023)より抜粋
*
*
*
*
*
*
*
*
*
*
芒は光なのか揺れると光るのか
目も耳もさわればありて菊月夜
白百合や息を殺したあとの呼気
夕焼に突っこむまぼろしのやんま
目が覚めて眠いと思う百合と思う
鶏病めば急ぎ殺して人の春
春の霰あれはほんとは我が欠片
さよならと互いに蓬の匂いの手
郭公の方へ方へと路細む
音無しの背後おそろし瀧の前
夕涼の湖畔は人を走らせる
逢いたいと書いてはならぬ月と書く
女王蟻に月の匂いを知らせねば
逢いにゆく径なふさぎそ秋ざくら
湖は空に覆われ雁の竿
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
池田澄子氏の第八句集。コロナ禍以降の重苦しい世相を反映しているが、直接言及している句は案外少ない。
表題作『逢いたいと書いてはならぬ月と書く』
は、とても好きな句。きちんと季語が入って、定型で、、、やっぱり澄子さんはすごいなと思う。
コスモスのパレード 音は止まない