echireeeee

echire☆echire project 俳句の記録

キリンレモン

『ぼく、牧水!──歌人に学ぶまろびの美学』伊藤一彦/堺雅人(角川書店2010)より抜粋

 

 

 

 

 

 

けふもまたこころの鉦をうち鳴しうち鳴しつつあくがれて行く

 

海底に眼のなき魚の棲むといふ眼の無き魚の恋しかりけり

 

きゆうとつまめばぴいとなくひな人形、きゆうとつまみてぴいとなかする

 

納戸の隅に折から一挺の大鎌あり、汝が意思をまぐるなといふが如くに

 

そうだ、あんまり自分のことばかり考へてゐた、四辺は洞のやうに暗い

 

旅人のからだもいつか海となり五月の雨が降るよ港に

 

なにゆゑに旅に出づるや、なにゆゑに旅に出づるや、何故に旅に

 

吾木香すすきかるかや秋くさのさびしききはみ君におくらむ

 

手を切れ、双脚を切れ、野のつちに投げ棄てておけ、秋と親しまむ

 

浪、浪、浪、沖に居る浪、岸の浪、やよ待てわれも山降りて行かむ

 

 

 

 

 

ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ

 

宮崎県出身の歌人・伊藤一彦氏と俳優・堺雅人氏の対談集。

 

若山牧水と、北原白秋石川啄木、の違いについて、

堺氏は、「白秋、啄木という、キラキラと研ぎ澄まされたナイフが二本ある間に、鈍くて重いナタが一本ドンと置かれている感じ」「世のなかには、鈍い刀じゃないと切れないものもある」と語っている。

 

又ご長男の旅人氏は、「お父さんがいると家の中が明るかった」と書き残している。子供思いのいいお父さんであり、有名な歌人という自意識がなかった人。格好いい。

 

f:id:echireeeee:20230612004005j:image

 

キリンレモン空の大きさ見逃して