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echire☆echire project 俳句の記録

木守柿

『近現代詩歌』短歌/穂村弘選(河出書房新社2016)より抜粋

 

 

 

 

 

 宮沢賢治(宮沢賢治全集/筑摩書房1996)

 

まことかの鸚鵡のごとく息かすかに

看護婦たちはねむりけるかな。

 

いざよひの

月はつめたきくだものの

匂をはなちあらはれにけり。

 

雲はいまネオ夏型にひかりして桐の花桐の花やまひ癒えたり

 

「青空の脚」といふもの

ふと過ぎたり

かなしからずや 青ぞらの脚

 

父よ父よなどて舎監の前にしてかのとき銀の時計を捲きし

 

 

 

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穂村弘氏による歌人五十人、各五首選と解説。

ここを入口として、気になる歌人がいたら、ぜひ他の作品にも触れていただきたい───とある。

 

必ずしも有名歌が選ばれている訳ではなく、穂村氏の好みが強く反映していて、そこがなんとも面白い。特に上掲の宮沢賢治に関しては、五十人に入ったことからして驚きだが、プロはこの歌を選ぶのかと終始意外性に満ちていた。「定型による制約のない詩や童話と違い、短歌的な詠嘆に着地している」という読み方には成る程と唸る。どこかで応用できそうだ。

 

ラインナップは以下の通り

正岡子規・佐々木信綱・与謝野鉄幹・窪田空穂・与謝野晶子・山川登美子・斎藤茂吉前田夕暮北原白秋若山牧水石川啄木・三ヶ島葭子・吉井勇釈迢空岡本かの子土屋文明宮沢賢治・明石海人・吉野秀雄・前川佐美雄・坪野哲久・葛原妙子・石川信雄・齋藤史・佐藤佐太郎・宮柊二・近藤芳美・山崎方代・浜田到・竹山広・塚本邦雄中城ふみ子・大西民子・相良宏・山中智恵子・前登志夫岡井隆・馬場あき子・寺山修司・平井弘・奥村晃作小野茂樹・佐々木幸綱・春日井建・岸上大作・高野公彦・村木道彦・福島泰樹・伊藤一彦・三枝昂之

 

 

 

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末の子の行ったり来たり木守柿