『近現代詩歌』短歌/穂村弘選(河出書房新社2016)より抜粋
まことかの鸚鵡のごとく息かすかに
看護婦たちはねむりけるかな。
いざよひの
月はつめたきくだものの
匂をはなちあらはれにけり。
雲はいまネオ夏型にひかりして桐の花桐の花やまひ癒えたり
「青空の脚」といふもの
ふと過ぎたり
かなしからずや 青ぞらの脚
父よ父よなどて舎監の前にしてかのとき銀の時計を捲きし
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
ここを入口として、気になる歌人がいたら、ぜひ他の作品にも触れていただきたい───とある。
必ずしも有名歌が選ばれている訳ではなく、穂村氏の好みが強く反映していて、そこがなんとも面白い。特に上掲の宮沢賢治に関しては、五十人に入ったことからして驚きだが、プロはこの歌を選ぶのかと終始意外性に満ちていた。「定型による制約のない詩や童話と違い、短歌的な詠嘆に着地している」という読み方には成る程と唸る。どこかで応用できそうだ。
ラインナップは以下の通り
正岡子規・佐々木信綱・与謝野鉄幹・窪田空穂・与謝野晶子・山川登美子・斎藤茂吉・前田夕暮・北原白秋・若山牧水・石川啄木・三ヶ島葭子・吉井勇・釈迢空・岡本かの子・土屋文明・宮沢賢治・明石海人・吉野秀雄・前川佐美雄・坪野哲久・葛原妙子・石川信雄・齋藤史・佐藤佐太郎・宮柊二・近藤芳美・山崎方代・浜田到・竹山広・塚本邦雄・中城ふみ子・大西民子・相良宏・山中智恵子・前登志夫・岡井隆・馬場あき子・寺山修司・平井弘・奥村晃作・小野茂樹・佐々木幸綱・春日井建・岸上大作・高野公彦・村木道彦・福島泰樹・伊藤一彦・三枝昂之
末の子の行ったり来たり木守柿