echireeeee

echire☆echire project 俳句の記録

⑧夏【2020/やがて地獄へ下るとき】

 

 

 

五月雨や渡り廊下に朽木の香

空き席へ鳥の声降る青嵐

 

木下闇顔なき人の背の高さ

ゆらゆらとうろくず集う夏野かな

 

夕焼を呑む恐竜うすむらさき

藪蚊来て夜更けの水に誘わるる

 

水妖の登るきざはし半夏生

夏痩せの少女うたたね消え易し

 

松葉牡丹赤くひろがる原爆忌

珊瑚樹の森へと迷い夏の果

 

 

 

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『白い晝』藤木清子

 

ひとりゐて刃物のごとき昼とおもふ

昼寝ざめ戦争厳と聳えたり

戦死せり三十二枚の歯をそろへ