echireeeee

echire☆echire project 俳句の記録

湯豆腐や底にほころびあるがまゝ

『第一句集 定本 誕生』 鷹羽狩行(牧羊社/花神コレクション1994)より抜粋

 

 

書肆を出て銀漢ひくき方へ帰る

極寒や透きとほるまで斧を研ぐ

沖に出し流木に雪殺到す

菫かたまりて未完の詩のごとし

稲妻の夜となる砥石濡れしまま

 

落椿われならば急流へ落つ

 

みちのくの星入り氷柱われに呉れよ

 

天瓜粉しんじつ吾子は無一物

さくらんぼ一顆ふくみて夜の言葉

歳晩の回転扉犬も入る

 

 

 

 

昭和23年から39年、18才から34才頃の作品集である。序盤からモノクロームの映画を観るような美しさ。ここまで上手いと何を詠むのか詠まないのかが問われてくる。

 

後半を占める新婚俳句は、どこが面白いのか私には理解し難かった。当時は目新しい表現だったのだろうか?人妻?少女妻?…なんなんだこれ…内輪受け?秀才がワルぶっているの?

 

更にどうでもいいようなことだが先程迄、「天瓜粉しんじつ吾子は無一文」と間違えていた。意味はほぼ同じだけども「無一物」だと随分と品が良くなる。この一文字の違いは大きい!しっかりしよう私!