『くちびるにウエハース』なかはられいこ(左右社2022)より抜粋
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完璧な春になるまであとひとり
ほしいほしいナイフに映るものぜんぶ
(せり、なずな)だれか呼ぶ声(ほとけのざ)
目覚めると川の匂いのするからだ
手を離すときの手ゆきのにおいの手
あきらめて人のかたちにもどる影
ビル、がく、ずれて、ゆくな、ん、てきれ、いき、れ
びっしりと鳥が詰まっている頁
てのひらをひらくと舟が浮き上がる
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
川柳作家、なかはられいこ氏の第三句集。
付箋だらけになってしまい、久々に選定に時間がかかった。現代川柳と自由律俳句、どこが違うのか未だによく解らないままだが、その得体の知れなさ故に一層面白い。
話題となった2001/09/11の連作からは、第一句だけ引いている。
鐘朧天が高うて上られぬ