『正岡子規──五つの入口』大岡信(岩波書店1995)より抜粋
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鳴神の鳴らす八鼓ことごとく敲きやぶりて雨晴れにけり
鳴神の遠音かしこみ戸を閉ぢて蟻の都は雨づつみせり
瓶にさす藤の花ぶさみじかければたたみの上にとどかざりけり
藤なみの花をし見れば奈良のみかど京のみかどの昔こひしも
佐保神の別れかなしも来ん春にふたたび逢はんわれならなくに
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岩波書店主催で開催された講義「正岡子規論」をまとめた一冊。正岡子規の喧嘩の仕方、水を漏らさぬ陣形、並の喧嘩上手ではない所以が解き明かされている。
今や、俳句はともかく上掲のような短歌となると、文語体や旧仮名遣いの知識無しには読み解くことができない。子規も古典となってしまったと言えるだろう。
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月並俳句の定義
一、直接感情に訴へず知識に訴へる
ニ、意匠の陳腐を好み新奇を嫌ふ
三、言語のたるみを好み緊密を嫌ふ
四、使ひ慣れた狭い範囲の語を用う
五、俳諧の系統と流派を光栄とする
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「触目」
目に触れたもの、思い当たることは何でもかんでも書く
聖夜 過去は無言で突き抜ける