『厨に暮らす』宇多喜代子(NHK出版2022)より抜粋
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出刃の背を叩く拳や鰹切る 松本たかし
襟足の奥の瞑さよ白魚飯 寺井谷子
三日月に地はおぼろ也麦の花 芭蕉
縞目濃き冬至南瓜に刃を入れる 木内彰志
水替へてひと日蜆を飼ふごとし 大石悦子
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
前半は小林聡美さんとの「昭和のくらし博物館」での対談記事、後半が主に食べ物に関する季語の紹介エッセイ。
所々に上記のような例句が組み込まれているのだが、特に解説がなされる訳でもなく、宇多氏がどういう基準で選んだのか、はっきりとは解らない。
食べ物の季語は、挨拶句として使われる事が多く、割とありきたりな作品になりがち、出尽くした感がある。
昨今の社会事情で家事分担の増えた男性陣から、今までとは違った視点の「台所俳句」が生まれてくるのを期待したい。
菱灯篭浮きつ沈みつ盂蘭盆会