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echire☆echire project 俳句の記録

2024-07-01から1ヶ月間の記事一覧

偏愛図書館/2024-14

『岡井隆の百首』大辻隆弘(ふらんす堂2023) より抜粋 * * * * * * * * * * * * * * * 號泣をして済むならばよからむに花群るるくらき外に挿されて 葉擦れ雨音ふたたび生きて何せむと病む声は告ぐ吾もしか思ふ からたちの萌黄といへどその暗く…

偏愛図書館/2024-13

『水歌通信』くどうれいん×東直子(左右社2023)より抜粋 * * * * * * * * * * * * * * * 垂直のガラスを蛸があるいてる雨つよくふる都市のどこかに 眼鏡踏む レンズが枠を放たれて眼鏡もちいさな檻だと気づく 分離するくらげのように考えがと…

偏愛図書館/2024-12

『与謝野晶子の百首』松平盟子(ふらんす堂2023)より抜粋 * * * * * * * * * * * * * * * わが子の目うるみてやがて隠れたる障子のそとに春の雨ふる 産屋なるわが枕辺に白く立つ大逆囚の十二の柩 若き日は尽きんとぞする平らなる野のにはかに…

偏愛図書館/2024-11

『工藤直子詩集』工藤直子(角川春樹事務所2022)より * * * * * * * * * * * * * * * せみ なきながら 六月が死ぬ ご先祖の頭の割れ目で せみが 目を覚ます つめたいところ くらい深いところで やらかいせみの 熱い皮膚の カラ・カラ・カラ・…