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名もしれぬちひさき星をたづねゆきて住まばやと思ふ夜半もありけり
夕暮れを何とはなしに野にいでて何とはなしに家にかへりぬ
緋縅の鎧をつけて太刀はきてみばやとぞ思ふ山桜花
砂の上にわが恋人の名をかけば波のよせきてかげもとどめず
手ににぎる小筆の柄のつめたさをおぼゆるまでに秋たけにけり
わが宿の八重のしら菊その色の一重は月のひかりなるらむ
さびしさに椿ひろひて投げやれば波、輪をなせり庭の池水
まどへりとみづから知りて神垣にのろひの釘をすててかへりぬ
少女子が繭いれおきし手箱よりうつくしき蝶のふたつ出できぬ
をとめ子が泳ぎしあとの遠浅に浮輪の如き月浮びきぬ
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
落合直文は江戸時代末期、気仙沼市伊達家重臣の家に次男として生まれた。
新体詩の作者としてデビュー後、和歌の革新に取り組み、短歌結社あさ香社を設立、この活動が「現代短歌」へと繋がってゆく。
この本の良さは、梶原氏の解説の良さにあると思う。事前の知識は全く無い状況で読み始めたが、途中からは直文の大ファンになってしまった。現代文への読み下しも美文、簡潔でありがたい。
何度でも手のひらかざす雪催