『ホトトギス─虚子と100人の名句集』稲畑汀子編(三省堂2004)より抜粋
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大佛の冬日は山に移りけり
沈丁の香にそひ上る館かな
しんしんと寒さがたのし歩みゆく
下萌えぬ人間それに従ひぬ
障子しめて四方の紅葉を感じをり
恐ろしき緑の中に入りて染まらん
下萌えて土中に楽のおこりたる
たんぽゝと小声で言ひてみて一人
ものゝけの如く膨れて月の波
秋晴に我焦げてをる匂ひする
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
「ホトトギス」のデータベース的アンソロジー。〇〇主宰、〇〇同人、理事、評議員…と錚々たるメンバーが並ぶが、やはり句柄の古さ=堅苦しさは否めない。
星野立子は明治36年(1903)生まれ、虚子の次女。ここでは有名句を外し、私の好きな句を選んでみた。あっけらかんとした表現の奥に、孤独が垣間見えるのがこの人の特徴である。
蝶生る迦陵頻伽の舞始め