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echire☆echire project 俳句の記録

夏祓

『子規365日』夏井いつき(朝日新聞出版2008)より抜粋

 

 

 

 

其箱のうちのぞかせよ傀儡師

いくたびも雪の深さを尋ねけり

あたたかな雨がふるなり枯葎

山桜仁王の腕はもげてけり

 

葉柳の風は中から起りけり

夕風や牡丹崩るる石の上

とんねるに水踏む音や五月闇

夏嵐机上の白紙飛び尽す

蝙蝠の飛ぶ音暗し蔵の中

手ばなせば又萍の流れけり

 

夕立や殺生石のあたりより

月赤し雨乞踊見に行かん

短夜やほろほろもゆる馬の骨

星一ツ飛んで音あり露の原

 

虫売の月なき方へ帰りけり

唐辛子日に日に秋の恐ろしき

樵夫二人だまつて霧を現はるる

とりまいて人の火をたく枯野哉

 

 

 

 

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夏井いつき氏による一日一句鑑賞。元々が新聞コラムなので大変読み易い。

夏井氏の俳句の普及にかける情熱が満ち溢れており、それが真っ直ぐに読者に届く、秀逸なエッセイ集となっている。

 

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