echireeeee

echire☆echire project 俳句の記録

(13)冬【2015-2017】

 

 

冬の海黒手袋の指し示す

 

ポインセチア赤で真っ赤で真剣で

holly night はぐれて薔薇の芽は赤い

 

山茶花の花踏んでおり担送車

風花よ後部座席は暗いまま

 

出発の荷物にもたれ寒の月

大寒や水底の草死にきれず

 

飽きもせず虎造唸る冬座敷

蝋梅や全く冷えてしまいたい

 

牡丹雪豊かに昼の欠伸かな

 

 

 

ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ

 

冬の殺人(多田智満子)

 

 

キリキリ舞いして倒れた

犯人は鋭い口笛を吹き

たちまち黒いこがらしに

身をひるがえして逃走した

 

心臓には冬の星がつき刺さり

透明な血が亀裂となって肌をはしった

月の鎌はまっしぐらに闇を截って

やわらかな耳朶を殺ぎ落した

 

ニュースは氷河をつたって

アフリカを脅かす

深いドラムが砂丘を打ち

裸の黒人は金属性の悲鳴をあげる

 

鮮血に染まる漂石!

犯人は新月を懐に呑み

極から極へ

歯に風をくわえて走った