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わが子の目うるみてやがて隠れたる障子のそとに春の雨ふる
産屋なるわが枕辺に白く立つ大逆囚の十二の柩
若き日は尽きんとぞする平らなる野のにはかにも海に入るごと
金色のちひさき鳥のかたちして銀杏ちるなり夕日の岡に
夏の花みな水晶にならむとすかはたれ時の夕立の中
狂乱に近づくわれを恐るるや蝶もとび去る髪をかすめて
秋と云ふ生(いき)ものの牙夕風の中より見えて淋しかりけり
椿ただくづれて落ちん一瞬をよろこびとして枝に動かず
青空のもとに楓のひろがりて君亡き夏の初まれるかな
木の間なる染井吉野の白ほどのはかなき命抱く春かな
ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ
五万首とも言われる与謝野晶子の歌の中から、松平盟子氏がどれを選ばれるのか───に大変興味があった。
代表作は数々あるが、百年の隔たりにより大半が読み解くのが難しくなってしまった。こういった選歌集が果たす役割は大きい。