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echire☆echire project 俳句の記録

偏愛図書館/2024-12

与謝野晶子の百首』松平盟子(ふらんす堂2023)より抜粋

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

わが子の目うるみてやがて隠れたる障子のそとに春の雨ふる

 

産屋なるわが枕辺に白く立つ大逆囚の十二の柩

 

若き日は尽きんとぞする平らなる野のにはかにも海に入るごと

 

金色のちひさき鳥のかたちして銀杏ちるなり夕日の岡に

 

夏の花みな水晶にならむとすかはたれ時の夕立の中

 

狂乱に近づくわれを恐るるや蝶もとび去る髪をかすめて

 

秋と云ふ生(いき)ものの牙夕風の中より見えて淋しかりけり

 

椿ただくづれて落ちん一瞬をよろこびとして枝に動かず

 

青空のもとに楓のひろがりて君亡き夏の初まれるかな

 

木の間なる染井吉野の白ほどのはかなき命抱く春かな

 

 

 

 

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五万首とも言われる与謝野晶子の歌の中から、松平盟子氏がどれを選ばれるのか───に大変興味があった。

 

代表作は数々あるが、百年の隔たりにより大半が読み解くのが難しくなってしまった。こういった選歌集が果たす役割は大きい。

 

 

 

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